「Lenovo YOGA BOOK C930」高解像度液晶とE-ink搭載のYogaBookの後継機は、性能もデザインも良いが非常に惜しい! 簡易レビュー

Lenovo YOGA BOOK C930」はLenovoから発売された、キーボード部分にE-inkを搭載するのが特徴の 2 in 1 タブレットPC。以前に同社から「Haloキーボード」という物理キーのないスクリーンキーボードを搭載し、YOGAの名の通りキーボード部分が360度回転する「YOGA BOOK with Windows」と言う端末が発売されておりましたが、こちらはその後継機となります。 前機種の「YOGA BOOK with Windows」はなかなか面白いモデルではありましたが、CPUがAtomという事もあり、実用面では若干物足りなく感じる場面が多々ありました。しかし「Lenovo YOGA BOOK C930」はCPUに「Core m3-7Y30」もしくは「Core i5-7Y54」を搭載し、フォトレタッチやイラスト作業でも十分実用的な機種になっております。

購入にいたるまで

はい、またLenovoがやってくれました。 「Lenovo YOGA BOOK C930」を一言で表すなら、俗に言う「変態ガジェット」ですね。 もう、こういう端末を愛してやまない諸兄には垂涎の一台だと思います。かく言う私もその一人。前機種の「YOGA BOOK with Windows」も持っていますが、当然「Lenovo YOGA BOOK C930」も買っちゃいました。 前機種「YOGA BOOK」のキーボード面は「Haloキーボード(読みはハロなのかヘイローなのか忘れた…)」というスクリーンキーボードが搭載されていて、付属のスタイラスで筆圧感知のペンタブレットのように使う事が出来ました。しかし液晶面は筆圧には対応しておらず、YogaTabletのAnypenと同じく、細いペン先(や物)でも描ける機能のみでした。当時はSurface Pro 4も使っていて、直接画面に描けた方が実用的なので、「YOGA BOOK」のペン入力はあまり使いませんでした。 それでも「YOGA BOOK」の薄さや携帯性は気に入っていて、Surface Pro 4よりもよく持ち歩いていました。 今回の「YOGA BOOK C930」は、このスクリーンキーボードの部分がE-inkに変更されて、尚且つ前機種では不満だった液晶面も筆圧感知のデジタイザが搭載されているそうです(液晶面には保護シートを貼ってないので、私は実際に試していませんが…笑) しかも、筆圧感知は前機種の倍の4096段階で、傾き検知にも対応というから隙がありません。 液晶とE-inkの二画面端末と言うと、お気に入りだった「Yota Phone 2」や、昨年リリースされた最新型の「YOTA3+」(YOTA3以降はイマイチだったので、絶賛スルー中…笑)が思い出されます。 「YOGA BOOK C930」の液晶側は2560x1600ピクセルと高解像度で、E-ink画面も1920x1080ピクセルの高解像度なものを搭載しております。 しかも、CPUは前機種のAtomから大幅にスペックアップされていて、第7世代の「Core i5-7Y54」搭載モデルまであります。 こりゃもう、買うしかねーな!と思っていたのも束の間。スペックアップの影響で価格が前機種の倍以上となっておりました…。 2018年はMacBookProを新調したばかりだったので予算が無く、購入を諦めていたのですが、2019年に入ってから結構値下がりしていたので、思わずポチってしまった次第です。 ▼ 私が購入したのは、前機種同様LTE搭載の「Core i5-7Y54」モデルです。 前機種はAmazonが最安でしたが、C930はなかなか安くなりません…。セールを狙いましょう。
▼ 逆に液晶保護シートはミヤビックスのセットモデルがあるAmazonがお得です。 (現時点では他にはありません)
▼ ちなみに私は今回はポイントの使える&貯まる楽天で購入しました。

開封レポート

前機種の白にオレンジのスリットが入ったオシャレなパッケージとは、また雰囲気が違う箱です。
なんだか墓石みたいな…いや、見た目的にプレステ2みたいかな?(笑) 墓石っぽさを醸し出す大理石風テクスチャに、紫のスリットが入って、まぁ高級感があります。
周辺機器等は小分けにした箱に入っておりました。最近、このタイプが多いですね。
こちらが本体です。色は若干違えど、デザイン自体は前機種とあまり変わっておりません。
裏面もいたってシンプル。前機種同様ゴム足が無いので、傷がつきやすいです。 私は自分でゴム足を買ってきて付けました。ダサくなりますが、背に腹は代えられない。
前はシルバーでギラギラしていた「ウオッチバンドヒンジ」が黒く塗られて、落ち着いた感じになっています。「YOGA BOOK」に限らずYOGAシリーズと言えば、このヒンジが特徴的。いくつものギアが噛み合った、このギミックのおかげで、液晶側の角度を無段階で固定する事が可能になっております。
ノートパソコンによくある、指をかける切れ込み(ノッチ)が無いので、非常に開きにくいです…。 ところが「YOGA BOOK C930」には面白い仕掛けがありまして…。
天板をコツコツと2回叩くと、ハマグリが口を開くように自動的にパカっと開きます。 最初はこれが面白くて、無意味に何度も叩きまくりました(笑) ちなみに、音量ボタンの下を長押ししても開きます。
液晶を見やすい所で固定した例。YOGAの名称通り、キーボード面を360度回転させてタブレット形状にする事も出来ますし、180度の位置で開いたままペタッと平面状に寝かせることも可能です。
電源を付けるとこんな感じに、キーボードが表示されます。 E-ink面は反射を抑えたアンチグレア処理がされています。
向かって右側の拡大。キーボード上の丸い部分は指紋センサー。 USBポートはMacBook同様に充電兼用のType-Cのみ。他に電源ボタンと音量ボタンがあります。
向かって左側にもType-CのUSBポートがあります。 私の購入したモデルはLTE搭載機なので、その横にはSDカードとSIMスロット取り出し用のピン穴が見えます。格安SIMを入れて、外でネットをするのに便利。
天板にはキラリと輝くLenovoのロゴ。あまり主張せずに、隅っこにあるのが文房具みたいでオシャレですね。

E-ink部分を見てみる

こちらが最大の特徴のE-inkを使ったキーボード。日本語だろうが、英語だろうが自由自在に変化させられます。「Haloキーボード」同様、慣れるとそこそこ快適にタイピングできますが、タッチパッド部分だけは使いにくかった。 ただ前機種と違って、キーを入力すると、E-inkによるアニメーションとモーターによる振動で打鍵感がちょっとだけ味わえます。まぁ、言ってしまえばスマートフォンタブレットにあるスクリーンキーボードへの入力バイブと一緒ですね。
右上のメニューバーから設定画面を開いたところ。音や振動の強さ設定やオンオフが出来ます。 ちなみにE-ink部分はWindowsとは別の独立したハードウェアとして動作しているみたいです。
キーボードの色やスタイルは(言語は関係なく)4種類から選択可能です。
こちらはクラシックスタイル。「Haloキーボード」同様の配置ですね。 狭いキーピッチや、ちょっと変則的で使いにくい所も一緒。
こちらは新しいモダンスタイル。タッチパッドは切替式になりますが、キーが大きくなって打ちやすいです。変則配置はそのまま。
キーボードのキー部分を白にする事も可能です。こちらの方が見やすいかな? ちなみに、E-ink部分にはバックライトがないので、暗い所では見難くなります。
こちらはスリープ時等に表示させるイメージを選択できます。
プレビューしてみるとこんな感じ。
ノックして開く機能をオフにする事もできます。カバンの中などでの誤作動防止用でしょうか?
プライバシーポリシーの画面。E-ink画面の解像度が高いので、文字表示は非常に奇麗ですね。
こちらはヘルプ画面。簡易マニュアルです。 テントモードやタブレット状態でオフになった画面をオンにするにはダブルタップします。
E-inkリーダーの解説ですね。後述しますが、この機能がもっと充実していれば…と、とにかく悔やまれます。
クラシックとモダンスタイルでのキーボードの使い方の説明。
E-inkリーダーのファイラーでは、特定の場所にあるPDFファイルを開くことができます。 残念ながら対応形式はPDFのみ。電子書籍に多いEPUBやCBZ(楽天KOBO等で使われているZIP圧縮の形式)が開けたら良かったのに…。 [2019/04/23 追記] 海外のフォーラムでE-ink関係の機能がアップデートされてepubが読めるとか、OneNoteが使えるとか書いてますね。 [2019/04/24 追記] いや、マジでepubが読めるようになっていますね。下記を入れてみて下さい。 https://support.lenovo.com/jp/ja/downloads/ds505122 - You could customize your personal E-ink display power off picture. - Reader will Support more eBook format (Txt,ePub,Mobi). - Support sync to OneNote - Support book mark(only one book)
こちらはメモ帳の画面。線はベクター形式で書き込まれるので、ちょっとクセがありますが、使い勝手は良いです。

前機種「YOGA BOOK」やMacBookProとの比較

左が「YOGA BOOK C930」、右が「YOGA BOOK」です。 並べてみると、かなり色味が違いますね。デザインはほぼ一緒です。
開くとキーボード部分の違いが良く分かります。 目立つところに貼られた「Core i5」のシールがスペックアップを主張しています。
厚みはほぼ一緒。それにしても、このシリーズは驚くほど薄いですよ。 個人的にはこの薄さが気に入っているポイント。
今度は右に並べたのがMacBookPro(13インチ)です。 すみません「YOGA BOOK C930」にはゴム足を付けてしまったので、その分を考慮して比較してみて下さい。 MacBookProはデザインが上手なので薄く見えますが、実際は「YOGA BOOK C930」の厚さはMacBookPro(13インチ)の下部くらいしかありません(ゴム足付けても、まだ薄いです)
こちらはあまり意味ないですが、MacBookPro(13インチ)との大きさ比較。 ちなみにスペック比較だと「YOGA BOOK C930」はMacBookProと比べても良いくらい高性能ですよ。液晶も2560x1600ピクセルとMacBookPro(13インチ)と同等の高解像度で、CPUも同じCore i5を搭載しています(厳密にはYとUの違いがあるので、性能差は結構ありますが…) ただ、こちらのMacBookProは2018年のTouch Bar搭載モデルなので、CPUのi5の世代が第8世代(Touch Barなしのモデルだと第7世代)と一つ新しくなっております。
付属のスタイラスです。LTE搭載も含めて、ここいら辺はMacBookに無いアドバンテージですね。
スタイラスは磁石によってくっ付きます。

E-ink画面をメインに使ってみる

モダンスタイルのでキーボードは、タッチパッドが切替式になっています。 楕円の部分を触ると、通常はこんな感じで、スペースキーがある場所に…。
タッチパッドが表示されます。しかし、その代わりにスペースキーと左右のAltに挟まれたいくつかのキーが消えてしまいます。スペースキーが消えるのはちょっと不便ですが、これらを同時に使う事はあまりないので問題ないかな?ただ、タッチパッドを使うのにワンクッション入るのは、やはり使いにくいです。
お次はE-inkリーダーで漫画を読んでみます。PDFにて無料公開されている定番のアレです。 基本的にPDF文書を読むための機能なので、ページ送りが逆ですが、結構快適に読めますね。 E-inkの書換え速度や、リフレッシュも気にならないです。 ちなみに端末の向きを自動判断して、見開きと単ページの切り替えを行ってくれるのですが、欲を言えば実際の本みたいに液晶画面とE-ink画面に渡って見開きを表示したりして欲しかったです。
元々の目的であるPDF文書の閲覧は、使い勝手は悪くないですが、機能が少ないのであまり多用したいとは思えません…。まぁ、拡大縮小など基本的な事は一応可能です。 せっかくの独立したハードウェアなので、Windowsを立ち上げなくてもE-inkリーダーやメモ帳とか使えれば面白かったのに。
こちらはスクリーンメモ機能。 Windowsの画面のスクリーンショットを取得して、色々書き込めます。 ただ、こちらの機能は全てクリップボード経由でやり取りするので、かなり不便ですね…。 メモ程度なら、わざわざE-ink画面を使わず、液晶面に直接書き込んだ方が良いです。
ぶっちゃけ、一番期待していたE-ink画面の活用がイマイチ過ぎます。 せめて、上に挙げた「Yota Phone 2」並みの事はさせて欲しかったです…。 「Yota Phone 2」では、メインスクリーンとほぼ同じ画面をE-ink画面に表示して操作可能でした。 「YOGA BOOK C930」で例えるなら、WindowsそのものをE-ink画面でも操作できる感じです。発表当初には、これが出来るようになると期待していたのに、全く期待ハズレでした。LenovoにはE-ink画面のファームウェアのアップデート、もしくはE-ink画面を制御するAPIを公開して、どうにか「Yota Phone 2」並みの事が出来るようにして頂きたいです。 (マルチディスプレイの表示画面を拡張するで、E-ink画面にWindowsの拡張表示が出来るだけで良いので…) これが出来るだけで、大化けする端末ですよコレは。 (漫画や本を読むときは、液晶画面をオフにして、E-ink画面のみで閲覧出来たり、筆圧感知の効くE-ink画面で高度なWindowsのソフトを使ってイラストを描いたり…夢は広がります)

実際に色々使用してみたレポート

起動直後のデスクトップ画面はこんな感じです。
Microsoftによって要らないアプリてんこ盛りにされます。 毎度のことながら、まずはこれを消す事からスタート。
では、初期設定が終了した所で、趣味を兼ねた動作確認のためにゲームを入れてみます。 少し前のゲームですが、グラフィックも奇麗で重そうな「BioShock Infinite」は意外と動きますね。 解像度はフルHDでも、アンチエイリアスと影の処理さえ低くすれば、他は中設定くらいで遊べるレベルで動作します。
「Borderlands2」はそれ以上に快適に動きます。
メモリ不足を心配しましたが、少し前のゲームならAAAタイトルでも動作に問題は無さそうです。
さすがに「NieR:Automata」は重かった…。 HD解像度で低設定なら、なんとか遊べるレベル。
しかも、E-ink画面のキーボードで最初のシューティング部分を乗り切るのはなかなか至難のワザ…。
最近のインディーズゲームでも、結構グラフィックの奇麗なものは重いですね。
基本性能が高いので、そこそこの設定なら、最近のゲームなんかも動くみたいです。 ただ、せっかくの高解像度ですが、これをフルに生かすには、かなり軽めのゲームじゃないと難しいです。

まとめ

「YOGA BOOK C930」はスペックが高いので前の「YOGA BOOK」では難しかった作業も難なくこなせてしまいますね。 ちょっと無理すれば、MacBookProみたいに動画編集まで出来るか?と思ったのですが、如何せんメモリが4GBというのがネックになりますね。私が購入したのは(定価だと)MacBookPro並みに高価な最上位モデルなのですが、最下位モデルと一緒でメモリは4GB固定なんですよ…。これは大いに不満です。 せっかくCPUの性能も高く、液晶も高解像度で、バッテリーの持ちも良いのに、このメモリの少なさが実用面ではネックになります。 せめて8GBあれば…と悔やまれますが、よく考えるとWindowsは仕事や作業では使わないので、個人的には別に問題ありませんでした(笑) 一般のビジネスユーザーの場合は、オフィス関係やWEBがメインになると思いますし、イラストやフォトレタッチなら、このスペックでもこなせてしまうので、これ以上の価格の上昇や、薄さを守るための落とし所としては悪くないのかもしれません。ゲームや動画編集・CG制作、プログラミングの用途には向きませんが、これらの作業をモバイルPCで行う人は元々居ないでしょう。 一番残念なのが、やはりE-ink画面の扱いですね。 こちらに「Yota Phone 2」みたいに、実際に操作可能なWindowsの画面が表示できれば完璧でした。 今できることは、PDFを閲覧する事と、スクリーンショットへのメモ書き程度なので、あまり実用性がありません。 さらに、キーボード面もせっかくE-ink搭載で自由にカスタマイズ出来るのかと思いきや、基本的には前機種と同じで、ただ使いにくいだけのスクリーンキーボードになってしまっています。 良い点と悪い点を箇条書きすると… 良い点 ・薄くて、軽いのに高性能。 ・デザイン・金属質感が良い。 ・持ち運びに便利で、LTEを生かせる。 ・液晶もE-ink画面も高解像度で奇麗。 悪い点 ・せっかく高性能なのに、メモリが少ない。 ・E-ink画面を生かしきれない。 ・キーボードの配置をカスタマイズできない。 と言った感じです。 アップデート等でE-ink画面の扱いが変われば、評価は180度変わると思います。 少し辛口な評価になってしまいましたが、期待が大きかった反動ですね。 スペックも含めて、デザインや携帯性など、モノ自体は非常に良いです。 [2019/04/23 追記] 海外のフォーラムでE-ink関係の機能がアップデートされてepubが読めるとか、OneNoteが使えるとか書いてますね。 [2019/04/24 追記] いや、マジでepubが読めるようになっていますね。下記を入れてみて下さい。 https://support.lenovo.com/jp/ja/downloads/ds505122 - You could customize your personal E-ink display power off picture. - Reader will Support more eBook format (Txt,ePub,Mobi). - Support sync to OneNote - Support book mark(only one book) ファームウェアのアップデートもありますね。自動では当たってないみたいなので、まだの人はどうぞ。 https://support.lenovo.com/us/ja/downloads/ds506310 ▼ 私が購入したのは、前機種同様LTE搭載の「Core i5-7Y54」モデルです。 前機種はAmazonが最安でしたが、C930はなかなか安くなりません…。セールを狙いましょう。
▼ 逆に液晶保護シートはミヤビックスのセットモデルがあるAmazonがお得です。 (現時点では他にはありません)
▼ ちなみに私は今回はポイントの使える&貯まる楽天で購入しました。