「Arduboy」超薄型カードサイズで懐かしいデザインの組み込みゲーム機 開封レビューとおすすめゲーム

Arduboy-03.jpg
「Arduboy」(アルデュボーイ)は組み込み型のマイコンArduino」(アルドゥイーノ)を用いた割り切った仕様と、クレジットカードサイズで約5mmという超薄型の筐体を実現した小型ゲーム機で、初期型のゲームボーイを彷彿させるデザインが魅力です。開発環境も整っているので、自分でゲームを作ったり、公式サイトで数多く公開されているオープンソースのゲームをダウンロードして遊ぶ事も可能です。

購入にいたるまで

「Arduboy」はもともとKickstarterで出資を募っていたプロジェクトで、Arduinoを利用した手軽な開発環境と、某ゲーム機(テトリスセガともめたレジェンドな存在のアレです)に似せつつも、カードサイズの超薄型筐体にモノクロの有機ELディスプレイを搭載して$39という低価格で話題になりました。 私が購入したのは、Kickstarter版ではなく一般販売されたバージョンで、最近では国内でも普通に6000円くらいで購入できるので、手軽に始めることができます。 もちろんアレっぽさに拍車がかかるホワイト色を選択しました(笑)
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

スイッチサイエンス SeeedStudio Arduboy
価格:6458円(税込、送料別) (2017/4/26時点)


「Arduboy」を買ってからは、就寝前にコイツで軽くゲームをしてから眠りにつくのが日課になっています。ゲームってウン億もかけた大作じゃなくても、アイデアとセンスがあれば十分に楽しめるんだなぁ・・・と再確認中。昔のマリオとかテトリスとか今遊んでも楽しいですもんね!(個人的にはクソゲーの汚名を着せられたファミコンスペランカーが大好きです。あれ、逆にバランスが絶妙だと思うのですが・・・) ちなみに、この「Arduboy」、ゲームだけではなく、簡易シンセサイザーやお絵かきツール、開発環境のBASICやPDA的なツールなどの面白いソフトを開発している人もいます。他にも「Arduboy」をパソコン等のマウスやキーボードにできたり、コンセプト動画ではドローンのコントローラー代わりにもしていますね。 腕に自信があれば、使いやすい開発環境も整備されている(「Arduino」のですが、これが非常に優秀)ので、自分で作ることも可能です。楽しみ方はまさに無限大ですね!

開封レポート

こちらは一般販売用のパッケージだと思われます。 シンプルすぎ!?逆に製品の特長が一目瞭然で、なかなか優れたデザインとも言えます。
Arduboy-01.jpg
本体はPCのパーツや「Arduino」などの機械部品が入っていそうな袋に封入されています。 USBケーブルはマグネットでくっつく極薄タイプです。「Arduboy」は普通のmicroUSBなので、一般的なスマートフォンのもので十分です。付属のものは今回はしまっておきました。
Arduboy-02.jpg
どうみても小型のアレですね。まぁ、名前からしてボーイですもんね・・・ ちなみに今回撮影用に開封シーンを再現していますが、結構前に買った物なので、実は保護シールがありません。本来ならば、傷がつかないように全面が保護シールに覆われているんです。
Arduboy-03.jpg
背面は金属で覆われていますが、前面は昔流行ったスケルトンのボディ。基盤のチラ見せが素敵です。 入力系は十字ボタンとABに当たる2つのボタンのみ。 意外なことに、このボタンの押し心地が非常に良いです。 ストロークも十分ですし、クリック感も気持ちよいです。 キーボードの打鍵感と同じで、ボタンの扱いやすさはゲームする上でかなり重要だと思うんですよ。
Arduboy-04.jpg
背面はアルミだと思われる金属です。 光の加減で分かりにくいですが、粗雑に扱っていたので結構傷がついています。 アルミは柔らかいので、傷が心配な場合はカットタイプの保護シールとかを貼った方が良いでしょう。
Arduboy-05.jpg
下部にはmicroUSBポートのみ。 前面ポート横には書き込み時の「Lチカ」用のLEDもありますね。
Arduboy-07.jpg
向かって右には何もありません。
Arduboy-08.jpg
同じく左にも何もありません。 この部分は手で覆うので、あっても困りますけど。
Arduboy-09.jpg
上部には電源スイッチがあります。 ちなみに、何らかの異常で書き込み等が出来ないときは、左と上同時押しで電源を入れるとセーフモードにできます。
Arduboy-10.jpg
お仲間の「Arduino」と一緒。
Arduboy-06.jpg
とりあえず電源を入れてみます。 Kickstarter版では同じ開発元のぷよぷよみたいなゲームがデフォルトで入っていたらしいのですが、正式販売版では「Mystic Balloon」というゲームが起動します。 これがとにかく面白いんですよ。色々ゲームを入れ替えて遊ぶのですが、結局これに落ち着きます。
Arduboy-11.jpg
モノクロ4階調だった初代ゲームボーイ以下の表現力ですが、有機ELが明るくてはっきりしているので、画面が奇麗に見えます。それに加えて「Mystic Balloon」は60fpsで動いていると思うのですが、とても滑らかです(V-Syncが取れないのかチラつきますが・・・) Raspberry Piと違ってOSを搭載していないので、ハードウェアに近い処理が可能な「Arduino」らしい高速さも魅力ですね。

開発環境とゲームのインストール方法

OSなどを搭載せず、容量も最低限しかない「Arduboy」はゲーム・ソフトが1本しか入りません。 なので、遊びたいゲームがある場合は、毎回入れ替える作業を行います。 (GamebuinoみたいにSDカードが使えると嬉しかった・・・) そのために必要なのがArduinoの開発環境とコンパイル時に必要なライブラリです。 (入れ替えはボタン一つで可能なので、コンパイル!?とか難しく考えなくても大丈夫ですよ) そして実際にやる事は開発環境のインストール(ドライバも自動)とライブラリを検索してインストールするだけですので、本当に簡単です。 後述しますが、ドライバさえ入れれば「Arduboy Manager」で手軽にゲームの管理・入れ替えが可能になります。ゲームだけ遊びたい人はこちらの方法を行ってみて下さい。 まず、こちらからArduino IDE(統合開発環境)をダウンロードします。 WEBアプリ版やWindowsStore版もありますが、スタンドアローン版をダウンロードします。 Windows,Mac,linux用の物があるので、自分の環境にあったものを選んでください。 自分の場合、メインはMacなのですが、以前に「Arduino」を使うときにMacでやろうとしたら、相性が悪くて色々面倒だったので、ゲーム専用のWindowsマシンで行う事にしました。 便利な「Arduboy Manager」もWindows用しかリリースされていませんし・・・(Mac版は準備中) 「Arduino IDE」をダウンロードしたらサクっとインストールしちゃって下さい。 途中でドライバのインストールの許可を求められるので、もちろんOKで。 ソフトを起動すると、可愛いらしいスプラッシュ画面に続いて、下のようなウィンドウが表示されます。「Arduino」にはGUIとか無いので、コードのみの簡素なものです。
Arduboy-Screen01.PNG
メニューから 「スケッチ」 → 「ライブラリをインクルード」 → 「ライブラリを管理」 を選択。 下のウィンドウが表示されるので、右上の検索窓に「arduboy」と打っちゃって下さい。 出てきたものを全部インストールしてしまっても大丈夫です。 インストールする時はバージョンを選択可能です、またインスト-ル済みの場合はINSTALLEDと表示されます。 (古いバージョンじゃないと動かないゲームがあったりもします)
Arduboy-Screen02.PNG
次にサポートボードをインストールします。 メニューから 「ファイル」 → 「環境設定」ですね。 環境設定の下の方にある「追加のボードマネージャのURL:」に下記のURLを貼り付けます。 https://arduboy.github.io/board-support/package_arduboy_index.json
Arduboy-Screen03.PNG
追加したら、メニューから 「ツール」 → 「ボード:"xxxxxx"」→ 「ボードマネージャ」を選択。 先ほどと同じように、ボードマネージャの検索窓に「arduboy」と入力すると「Arduboy by Arduboy Team」というのが出てくるので、こちらをインストール。
Arduboy-Screen04.PNG
これでメニューから 「ツール」 → 「ボード:"xxxxxx"」→ 「Arduboy」が選べるようになるので、選択しておきます。 後はUSBで「Arduboy」を接続後、電源をオンにして、お目当てのゲームを転送します。 「ファイル」→「スケッチの例」→「Arduboy」などにサンプルが掲載されていますので、こちらを読み込んでみて下さい。 下は「ArduBreakout」の場合です。この状態で右矢印ボタンを押すとコンパイルが始まり、完了後に「Arduboy」にゲームが転送されます。本当にお手軽ですね。
Arduboy-Screen05.PNG
ゲームをもっと手軽に入れ替えたいなら「Arduboy Manager」がオススメです。 「Arduino IDE」の場合はゲームが増えてくると管理するのが大変になってきますし、どれがどのゲームなのか分からなくなります。 「Arduboy Manager」はサムネイル付きでゲームを一覧したり、バナー表示もある詳細画面を持ち、ここからワンクリックでゲームをインストールしたりできます。一度使ってみて下さい便利ですよ~。
Arduboy-Screen06.PNG
ただ「Arduboy Manager」のサイトに登録されたパッケージ化されたゲームしか表示されないので、それ以外のゲームは自分で登録する必要があります。

おすすめゲーム

以下に個人的におすすめだったゲームを挙げておきます。 コミュニティにアップされた物はほとんど試したと思いますので、その中から選りすぐりでご紹介。 わずか32kbで作られたとは思えないくらいにデキが良いものが多いです。 ちなみに、ゲームのダウンロードは公式サイトにて、ゲーム名で検索すれば見つかりますし、「Arduboy Manager」をインストールすれば最初から入っているものも多いです。 [Mystic Balloon]
製品版にデフォルトで入っているゲームです。 「Arduboy」のゲームの中ではNo.1のデキだと思います。 ファミコンで言うマリオ的なフラグシップの役割を持ったゲームですね。 風船で魔界村外伝のレッドアリーマーみたいに滑空できるキャラを操作して、星のカービィみたいに敵を吸い込んだり、様々な仕掛けのあるステージをクリアしていくものなのですが、ギミックやステージの作りが絶妙で、さらに滑らかな動作と可愛いアニメーションが素敵なゲームです。 [Sirene]
Mystic Balloonと同じTEAM A.R.G.のゲームです。 こちらも高い技術力とセンスを感じさせる作品で、基本は横スクロールのシューティングゲームなのですが、疑似多重スクロールを実現したり、アニメーションパターンの多い可愛いキャラが特徴。 ゲームを簡単に説明すると人魚を操作して、海の生き物と戦います。ちなみにこのメーカー、人間と魚部分が逆になった気持ち悪いリバースマーメイドのホッケーとかもリリースしています。 [virus LQP-79]
この分だとTEAM A.R.G.のゲームだけの紹介になってしまいそうなので(笑)、とりあえずこれで最後。 ゾンビが徘徊する町?村?で、人々を救出しながら出口を目指す見下ろし方のアクションゲームです。 このメーカーは相変わらずキャラのドット絵が素晴らしいですね。 斜め移動なんかもできて戦略に幅がありますし、ゾンビの不気味な動きやキャラの動きもグッド。 自キャラに一心不乱に迫ってくるゾンビが怖いです。囲まれる恐怖も味わえますよ! [Tres]
こちらはスマートフォンゲームで人気のThrees!のクローンです。 個人的にはパクリの2048の方が好きなのですが(笑)非常に良く出来ています! タイトル画面では3D風にロゴがクルクル回っていて、おおっ!と思わせてくれます。 ゲームの作りも非常に丁寧で、長時間遊んでしまいますよ。 [Castleboy]
こちらは悪魔城ドラキュラ風のアクションゲーム。 ムチを振るって敵を倒し、燭台を壊してアイテム入手。上と攻撃ボタンでナイフ投げと・・・操作もほぼ一緒なので、説明いらずですね(笑) ゲームも良く出来ていて、完成度は高いです。 ただこのゲーム、日本人には攻撃ボタンとジャンプボタンが逆の方が操作しやすいと思うんですよ(スーパーマリオ準拠にしてほしい)そんな時こそオープンソースの強み。自分好みに改造出来ちゃいます。 そういえば、海外ゲームだとPS系の場合×が決定で〇がキャンセルだったりしますけど、そんな感じ。 (XboxやSteamの場合は海外そのまんまの操作が多く、両方使っているとよく間違えます・・・) [EVADE]
プロモーション動画が凝った作りのシューティングゲーム。 基本的に無音が多い「Arduboy」のゲームには珍しく、BGMが鳴っています。 R-Type(長押しではなく回復タイプなのでLEOか?)みたいな溜め撃ちありのオーソドックスなシューティングです。 [Bangi]
スーパーパン(Super Pang)のクローンですが、原作さながらに遊べて非常に完成度は高いです。 アイテム要素もあって、ゲーム性を高めています。ハマると時間を忘れてしまいますよ。 [Hollow Seeker]
一言でいうと上から迫りくる天井を避けて、空間を見つけて洞窟を進んでいくゲームです。 例えると、SFCスーパーマリオにあった洞窟ステージみたいな感じ。作りが丁寧で結構面白いですよ。 [Arduminer]
これはテラリアのクローンでしょうか?サンドボックスゲーム風に穴を掘ったり、ブロックを積み上げて下を目指すゲームです。操作が面倒なのですが「Arduboy」でもこういうゲームが出来るんだぁと感心します。 [Ard Drivin]
こちらはセガの往年の名作アウトラン風のレース(障害物除け)ゲームです。 疑似3Dのステージはスピード感があって本家アウトランなみに遊べますよ! 凄いのが、ディザリングのパターンを高速に切り替える事によって疑似的に色(階調)を表現している点。モノクロ2階調しか使えないはずの「Arduboy」で多階調を表現しています! (動いているのを見ればわかるのですが、単なるディザリングによるパターンじゃないですよ) 昔、ポケットステーションの自主ゲーム開発で同じような事をしていた(あっちはドットを高速で点滅させて階調を表現)のですが、凄い力業です!ちなみに、BGMは無いのですが、エンジン音等のサウンドも実現しています。

まとめ

他にもオススメのゲームとして、TEAM A.R.G.のゲーム全般。 3つのパズルゲームがセットになった、ビジュアル表現の技術力も高い「Atomic Puzzle Pack」。 そのままパクリの「BurgardTime」(バーガータイム)、「Ardu-Man」(パックマン)、「Flappy Ball」。 ソナーを使ったシューティングの「i4arduboy」、どこかで見たことのある「Jet Pac」。 などなど、面白いゲームが多いですよ! Gamebuinoのライブラリを移植して下さった方もいるので、それを利用してGamebuinoのゲームもちょっと変更して自分でコンパイルすれば遊べちゃいます!「BigBlackBox」「S-COPTER」「UFO-Race」「Crabator」あたりが面白かったです。 これだけ遊べて、さらに自分でも開発が出来ちゃう「Arduboy」 人を選ぶかもしれませんが、本当に面白いガジェットです。 ゲームを遊ぶだけなら、PSPやDSの中古を買った方が安いしリッチなゲームも多いですが、このデザインや筐体の小ささ。そして開発等にそれ以上の価値を見出せるなら、文句なしにオススメできます。 国内でもAmazonなどで手軽に購入できます。 送料を考えると、出資した人の負担と同じくらいで入手できてしまいます。
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

スイッチサイエンス SeeedStudio Arduboy
価格:6458円(税込、送料別) (2017/4/26時点)