「Nikon COOLPIX P1000」コンパクトデジカメのカテゴリはジョークか!?テレ端3000mm相当の唯一無二の巨大デジカメ レンタルレビュー

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Nikon COOLPIX P1000」は35mm判換算でワイド端24mm~テレ端3000mm相当を誇る、光学125倍ズームのレンズを備えたコンパクト!?デジカメで、天体望遠鏡並の望遠性能を生かして、月の撮影や野鳥の撮影にも使えるカメラです。また手持ちでも月面撮影が可能なほど強力な手ブレ補正機能や、RAW現像など、ホビーユースのみならず、プロの現場でも力を発揮できる性能もあります。 友達が長年使ってきた一眼レフカメラが壊れたと言うので修理に行ったのですが、なぜか「Nikon COOLPIX P1000」を購入してきました。 P1000はその発表時から気になる機種ではあったのですが、コンデジでありながら並の一眼レフを買うよりも高価で、天体や野鳥の撮影を行わない自分には、その驚異的な望遠性能の使いどころも難しく、興味はあるので使ってみたいが、買わないだろうなぁ…と思ってた機種でした。 まさか、それほどカメラを使うワケではない友人が買ってくるとは思っていなかったので、おそらく実物を触ると欲しくなる魅力があるのだろうなぁ…。ならば、ぜひ借りてレビューしてみたい!(ただ、自分も使いたいダケ…笑)という事で、購入した本人が仕事が忙しくて触れないのを良い事に、本人が使うよりも前に借りてきてしまいました。 話題は逸れますが、私がカメラの事を何も知らない時分、とりあえずシェアが高いという理由でキャノンのデジカメ(40Dから5Dまで)を使っていたのですが、風景を撮っていてずっと画質や色づくりに不満がありました。 しかし、プロカメラマンでもないし自分のウデが悪いから、こんなモノだろうなぁ…と思っていましたが、仕事でお会いしたプロカメラマンの方々が皆ニコンを使っていていたので、撮った作品を見せてもらってビックリ。色の再現性や解像感が、求めていた感じだったんです。レンズ等の質にもよると思いますが、キャノンはどちらかと言うと誇張された感じですが、ニコンは目で見た色に近いのです。さらに、細かい部分がクッキリと撮影されているし、逆にボケた部分は味があって奇麗でした。そこで思わずD300を購入して以来、私は今使っているD850までずっとニコンを使っています。 (このブログは、その古いD300で撮影しています…高解像度機種は画像サイズがデカ過ぎてブログには不向きかな?) しかし、ニコンって会社はその真面目な製品イメージとは裏腹に、ごく稀に尖がった物(俗に言う変態ガジェット…笑)を作って、我々を楽しませてくれます。Androidを搭載したデジカメ「COOLPIX S800c」や、超小型のでデジカメ「COOLPIX Sシリーズ」等々。今回の「Nikon COOLPIX P1000」もかなりぶっ飛んだ(いい意味で)機種ですね。

開封レポート

こちらが「Nikon COOLPIX P1000」のパッケージ。デカいです。 実物を見ないでネットで購入した人は、この時点で驚く事でしょう。
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取り出した本体もデカい。 ニコンのホームページのカテゴリでは一応「コンパクトデジカメ」に入っている製品でしたよ(笑) 柔道をやっていた巨漢の友人が持って、やっと普通のカメラっぽく見えます。 付属品はレンズフード、ストラップ、バッテリーの他は充電用のACアダプタとケーブルです。 この機種はスマホみたいに充電するんですね。
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全て装着してみました。 デザインからして、なんだかビデオカメラみたいな面持ちですね。
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大きめのレンズを装着した一眼レフカメラと並べてみます。 これでもまだP1000の方が若干大きいですね。
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P1000のボディ素材は大部分がプラスチックなのでそこそこ軽量です。 持ってみると、その見た目の反動からか「おっ、軽っ!」と口に出てしまいました。 実際の重量は1415gなので、そこまで軽いわけではありませんが、本格的な一眼レフ+レンズよりは大分軽いです。 ボディもプラスチックですが、良い素材を使っているので、あまり安っぽい感じはしません。 グリップの部分はゴム素材で持ちやすくなっています。
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見た目がビデオカメラに似ているので、ソニーの大き目のビデオカメラと並べてみます。
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サイドにもズームレバーがあります。 ズームレバーの前のボタンはクイックバックズームボタンで、こちらを押すと目標を見失った時などに、一時的にズームを引いて被写体を捉え直すことができます。最初は戸惑いましたが、使いこなすとかなり便利です。
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前玉のレンズ径は77mmと大き目。
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操作系は右側に集まっています。 ニコン系の操作に慣れているなら戸惑う事はないと思いますが、ダイヤルが一眼のと違うのでちょっと慣れない…あと、個人的には電源はボタンじゃなくてスイッチが好きなのですが…まぁ、基本コンデジなので仕方ない。
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液晶画面は回転して蓋にもなります。 タッチパネルかと思っていましたが、どうやら違うみたい。
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EVF(電子ビューファインダー)は0.39型の有機ELで235.9万ドットという高精細なもの。 色鮮やかで、かなり奇麗でしたよ。ただ、現実の色とはちょっと違う感じ。 ファインダーの横にあるのは、おそらく接近センサー。ファインダーを覗くと自動的にオンになります。 電子ファインダーというとSONYのイメージがありますが、個人的には光学ファインダーの方が好きなので、あまり使わないと思います。 しかし電子ファインダーのメリットとして、設定や補正等の結果が撮る前に分かるといった点でしょうか?実際にライブビュー撮影を使うと、便利なシーンも多いので、恩恵は受けられると思います。 あと、写真よりもビデオ撮影向きですね。
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ストロボ(フラッシュ)の起き上がりがメカニカルでカッコいいです。 また、P1000にはホットシュー(外部アクセサリを接続する機構)が搭載されているので、外付けストロボやマイクなども繋げることができます。 他に専用の照準器も発売されているみたいです。
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電源オン時のレンズの位置はこのくらい。 ワイド端で24mmなので、結構広角ですね。普通に風景や店内の撮影にも使えそう。 イメージセンサーは1/2.3インチとコンデジらしい物ですが、有効画素数が1600万画素と低いのも幸いしてか、撮ってみると意外と精細に写ります。バランスが良いですね。
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最大までズームすると、ここまで伸びます。大砲か。 手持ちだと、重心が変わるのでブレないようにするのが大変。 コントロールリングはデフォルトでは露出補正用だけど、フォーカスやズームの他にISOやホワイトバランス等の機能を設定することもできます。
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一番前のレンズ径は77mmと大きいけど、すぐ後ろのレンズはかなり小さいです。
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液晶を開くとこんな感じ。運動会とかに役立ちそうですね。
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3.2インチの液晶モニターは大きいですが高精細。非常に見やすいですが、タッチパネルではないのが悔やまれます。 液晶の色味が若干黄色いですね。
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メニューを開いたところ。フルオートにしているので、設定項目は少ないです。
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こちらは動画のメニュー。
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通信や接続関係のメニュー。後述しますが、リモコン代わりに使ったり、写真を確認できるスマートフォンとの連携機能が便利です。
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設定メニュー。
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P1000はコンデジなのにRAWで撮影できるんですね!しばらくコンデジから離れていましたが、これは驚き。
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素数はそれほど高くないです。今時のスマートフォンの方が高画素。 しかし実際問題、画素数は高ければよいワケではないく、センサーの大きさも考慮して、この機種に関してはバランスが良いと言えます。
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それなりに高速なSDカードが必要になりますが、4K動画も撮影できます。
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スマートフォンと連携させてみましょう。 ここで一つ問題が…ドローンで使うDJIのアプリでもそうなのですが、この手のアプリってAndroidと相性が悪すぎます。 新しめのiPhone Xはドローン専用機にしているので、古いiPhone6を引っ張って来てペアリングしてみました。 Androidでは機種を変えていくらやってもペアリング出来ませんでしたが、iPhoneだとすんなり接続完了。 まぁ、機器の仕様が断片化しているAndroidが悪いのだけど…もう既にiPhoneをメインで使ってないので困りもの。
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まず最初に接続するカメラを選択します。
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後は書いている通りに実行すれば良いのですが、Androidで行ったときはココから先に進みませんでした。
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ペアリングはBluetoothで行うみたいなのですが、リモートコントロールや撮影画像の確認はDJIのドローン(SparkやTello)と同じでWi-Fiで行います。
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iPhoneだとスムーズに進みます。
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GPSによる位置情報の埋め込みや自動連係など、スマートフォンと接続すれば便利な機能が使えます。
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こちらはメイン画面。
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Wi-Fiでカメラと接続して、リアルタイムに画像を見ながらリモートでシャッターを切れます。 この機能は、GoPro Fusionのような360度カメラの場合は必須の機能ですが、意外と便利です。 このカメラの場合は自撮りに活用できます。
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基本的にスマートフォンの画面を使ってライブビューを行っている感じですね。
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当然ズームもできますよ。
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撮影後の画像の取り込みも可能です。
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撮影してみる

私は写真の専門家ではないので、一切作例の参考にはなりませんが、どんな写真が取れるかの例をいくつかアップしてみます。 まず、起動したそのままの状態で撮った物(リサイズ以外の画像編集は一切行っておりません。デフォルト状態のフルオート撮影)です。 設定等も何も行っておりません。 まずは自宅で撮影。暗い部屋ですが、そこそこ撮れます。
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次は、部屋の隅まで離れてズームして撮影。 手前のピカチュウと、後ろのチップとデールは離れていて、さらにF値を小さくして被写界深度を浅くしようとしたのですがボケません。 センサーが小さいからかな?
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仕方ないので今度は被写体(さっきと逆にチップ?デール?どっちだ?を手前に持ってきて)を近づけてズームして、さらにマクロにしてピカチュウをボカそうとしたのですが、あまりボケませんね。部屋がせまいので、これで限界。小物の撮影とかには向きませんね。
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今度は外に出てズームを試してみます。雲が出ていて、あまりよろしくない空模様の午後。こちらはワイド端24mm。 (リサイズ以外の画像編集は一切行っておりません。デフォルト状態のフルオート撮影)
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中央右の一番黄色くなっている木にズームしていきます。この状態で1000mmくらい。 このくらいなら手持ちで撮れます。
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テレ端(最大望遠)の3000mmだと、ここまで寄ることができました。葉っぱの一枚一枚まで見えます。 さすがにここまでだと、手持ちで撮れなくもないですが、三脚が必要になってきますね…あと、静止画だと分かりませんが、ファインダーや液晶越しだと、空気の揺らぎがよく分かります。 三脚さえ使えれば、十分実用的です。ちなみに、ここまでズームすれば背景も奇麗にボケますよ。
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お次はバードウオッチング…出来るような場所ではないので、遠くに居る動物を撮ってみます。 (リサイズ以外の画像編集は一切行っておりません。デフォルト状態のフルオート撮影)
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まるで目の前にいるかのように撮影できました。 夕方でかなり暗くなってきているのですが、ノイズ等はまだ気になりません。
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ズームアウトの様子を動画にしてみました。かなりブレてるのが分かると思います。 静止画撮影時には追尾や顔認識等のオートフォーカス機能があるのですが、動画撮影時のオートフォーカスは標準のものしか効かないみたいです。 お次は月です。この日は曇っていて、肉眼では月はボヤっとしか見えませんでした。 こりゃ撮影は無理かな?と思いながらも、レンズを向けると…クッキリとはいきませんが、月がちゃんと見えます!友達と一緒に、思わず「おおー、スゲー」と声に出して驚きました(こちらもリサイズ以外の画像編集は一切行っておりません。月モードでのフルオート撮影)
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ちなみに、月モードでは色味を変えることもできます。
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本当は天気の良い日に、もっとハッキリした月撮影を行いたかったのですが、借り物なのでとりあえず返却。 今度時期を見て一緒にリベンジ撮影を行う事にしました。しかし、この日のコンディションの悪い空でも(肉眼だと、ボヤっとした白い丸だったんですよ…)、ここまで撮影できるなら、大気の状態さえよければ、驚くほど奇麗な月撮影が出来そうですね。 前機種のP900からの正統進化を果たした「Nikon COOLPIX P1000」は他に代わりのないほど、面白いカメラですね。 各所で月と鳥に特化した感じで書かれていますが、運動会やお遊戯会などのシーンでも活躍すると思うので、お子さんのいる家庭ではかなり重宝しそうです。4K動画も十分に奇麗で、ビデオカメラ代わりにも使えそうな感じ。 後は価格さえこなれてくれれば(友人は12万円で買ったそうです…入門用の一眼レフより高いですね)、私も購入してみたい一台です。